つまらない安全講習ビデオをディープフェイクで「自分ごと化」する
安全講習のビデオってつまらないですよね。
免許の更新、社内のeラーニング、飛行機の離陸時など、様々な場面で僕らは講習ビデオを見させられます。
いくら役者さんが迫真の演技で危険な場面を演じても、僕みたいに共感力が薄い人間にはどうしても「他人事」に見えてしまって適当に見流してしまいます。本当は大事なのに。
そこで、安全講習ビデオを無理やり「自分ごと化」する方法を考えて試してみました。
事故ってるのが自分と家族だったら流石に見るんじゃない?
役者が演じる事故映像は「もしこれが自分や家族だったら」という変換を一旦行わないと吸収できません。しかし、自分や家族が危険な目にあっている場面を見れば直接脳の「ヤバい」エリアに働きかけられるのではないかと想像します。
そこでディープフェイクを使って、事故る対象者を自分や大事な人に変えてしまえば、急に「自分ごと」として捉えられるんじゃないかと考えました。:
ディープフェイクとは、機械学習を使って映像内の人を別の人に置き換えてしまう技術です。世間ではフェイクニュースやリベンジポルノで悪名高いやつですね。上の画像では、運転者の顔を僕の顔に置き換えています。
映像で見ると、かなり綺麗に(メガネも含めて)置き換えできていることがわかると思います。(ちなみに同乗者全員僕に置き換わってます。):
交通安全ビデオってどうしても「他人事」感が拭えないため真剣に見れない自分がいます。そこでDeep Fakeで役者の顔を自分の顔に置き換えることで、無理やり「自分ごと」化する実験をしてみました。ちょっと髪型違和感あるけど。 >河本の実験室 https://t.co/KULs1VoxZe pic.twitter.com/nYAo7rocYO
— Ken Kawamoto(ガリのほう) (@kenkawakenkenke) October 10, 2019
元映像: (警視庁公式チャンネル) 交通事故防止 「命を守るシートベルト」 後部座席着用
元の映像では「知らん人が危ない目にあってる」ぐらいにしか見えなかったシチュエーションが、自分が置き換わることで少しだけドキドキ感が増した実感があります。(僕を知らない人からすると、知らん人が知らん人に置き換わっただけなので全く分からないかも知れませんが。)
このような、自分や大事な人を出演させた「自分ごと化」映像を新米ドライバーや交通違反者にプレゼントしたら、少し危険の実感が増して、安全運転が望めるのではないでしょうか?
とはいいつつ、あまりに髪型が違うことや、同乗者が知らない人たちであることで、まだ少し違和感が残ります。同乗者をそれぞれ自分の家族に植え替えていけば、かなり現実感が増すんじゃないかと想像しています。あまり子供の年代が合っている映像が見つからなかったので試せませんでした。
他にも自転車事故を起こす河本の映像を作ってみたり:
急に車のドアが開いて驚く河本。骨格違いすぎて違和感ある。 (JA共済DVDより) pic.twitter.com/A4EppxZ6AR
— Ken Kawamoto(ガリのほう) (@kenkawakenkenke) October 10, 2019
元映像:(JA共済DVD)「危険を予測してみよう! ~被害事故~」
骨格が違いすぎて、あまり当てはまってない気がします。
下水機能が停止したトイレを流して怒られる河本:
災害時に下水機能が停止しているにも関わらず無理やりトイレを流して階下の住人に叱られる河本。(国土交通省公式チャンネルより) pic.twitter.com/9KN2a2MfZc
— Ken Kawamoto(ガリのほう) (@kenkawakenkenke) October 10, 2019
元映像:(国土交通省公式チャンネル)災害時のトイレ、どうする?
調子に乗って極秘情報をネットで漏らす河本:
見栄を張ってネットで極秘情報を漏洩させる河本。(警視庁公式チャンネルより) pic.twitter.com/OGhNSftlYd
— Ken Kawamoto(ガリのほう) (@kenkawakenkenke) October 10, 2019
元映像:(警視庁公式チャンネル)みんなで学ぼう!サイバーセキュリティ ①情報流出防止対策
これはちょっと似てますね。やはりもとの毛髪量が似てるほうが良さそうです。
やりかた
"faceswap"という、顔の抽出、学習、合成、映像の書き出しまで全部やってくれるツールを使いました。ほぼ、工夫の要素はなく、使うだけです:
GitHub - deepfakes/faceswap: Deepfakes Software For All
おわりに
映像を知っている人にすることで「他人事」を「自分ごと」にするという考え方は、色々応用がききそうです。例えば少し違う角度では、歴史写真に適用すると興味深い効果があるのではないかと思います。
教科書やドキュメンタリーなどで見すぎて実感が湧きにくくなった歴史的な写真や映像に自分や家族を出演させることで、「そこにいたのも自分と同じような人間なんだ」という実感を増す効果があるんじゃないかと想像します。モノクロ歴史写真をカラー化すると急に親近感と現実感が増すのと同じだと思います。なんとなく色々面倒くさそうなので、アップするのは自重しますが。
ディープフェイクは悪名が轟いていますが、視点を変えるとこのように(少しだけ)人のため世のためとなるような使い方がまだまだ転がっている気がします。faceswapは驚くほど簡単に使えたので、是非新しい使い方を考えて試してみてください。